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[PS2] かまいたちの夜×3 三日月島事件の真相 [レビュー]




1994年に発売された「かまいたちの夜」はゲーム界にサウンドノベルという新しいジャンルを確立させました。

その初代「かまいたちの夜」の完結編が「かまいたちの夜×3 三日月島事件の真相」です。


実に初代から12年ぶりの作品。

前作「かまいたちの夜2 監獄島のわらべ唄」から4年ぶりの新作をレビューしていきましょう。


今作は前作と前々作のメインシナリオもプレイできるという贅沢なボリュームになっています。

かまいたちの夜シリーズ初挑戦の方にも自信を持ってオススメできるタイトルです。



完璧な多角的視点シナリオ
物語の舞台は前作「かまいたちの夜2 監獄島のわらべ唄」の1年後。

前作のメインシナリオの結末が前提となっており、登場するキャラクターも前作に順じたものとなっている。


かまいたちの夜3の一番の特徴は、4人の主人公によるシナリオ展開。

一人ずつ主人公のシナリオを進めて行き、ある一定の箇所まで進めると他の主人公が選べるようになる。

複数の主人公が切り替わることで、一人では解けなかった謎が解ける仕組みだ。


この多角的な視点シナリオ展開が実に見事。

各登場人物がいつ、どこで、何を、どうしていたのか、といった情報がそれぞれのシナリオで明らかにされる。

それ故、徐々に物語の真相が分かるような演出になっていて、最後の主人公のシナリオでは伏線という伏線が回収されていき、文章を読んでいるだけで胸が躍る。


これは、我孫子武丸氏の脚本のすばらしさによるものだろう。

初めて良い小説を読んだときのような、読むことを止めることができない感覚を味わえることだろう。


主人公以外のキャラクターの掘り下げに成功
前述したとおり、今作は複数の主人公がいるのだが、各シナリオで文章表現が変わることが面白い。

かまいたちの夜は、主人公が推理するタイプのサウンドノベル。

したがって4人の主人公の性格や話し方が全体のテキストの雰囲気を決定付ける。

主人公を変えることで、各主人公の考え方や特徴、そしてそのキャラクターを主眼とした他キャラクターとの相関図をよりくっきりと浮かび上がらせることとなった。


今までのかまいたちの夜は、一環として主人公の透の視点だったために、透が感じた人間関係しか表現されなかった。

彼と関係の薄い人たちの交友関係を表現するには「おそらく○○なのだろう」とか「この人は○○に違いない」と述べるしかなかったのだ。

しかし、透にとって関係が薄かった人物も、主人公が変われば関係性も変わってくる。

今までほんの脇役に過ぎなかった人物が急に重要な人物へと変わるのだ。


すべての主人公をプレイし終わって、主人公以外の人物にも愛着が湧いていることに気づく。

それは多角的な人間相関図を見たことで、細かい心理や心の変化を感じることができ、それぞれの人物に個性を見つけることができたからではないだろうか。


このかまいたちの夜3は初代「かまいたちの夜」からの登場人物を継承している。

そして、その登場人物のバックボーンや細かい性格、趣向を初登場時のイメージを崩すことなく、より深く表現することに成功した。

初代「かまいたちの夜」が好きだったプレイヤーも満足できることだろう。


優れた小説の要素が満載
かまいたちの夜はゲームだ。

ゲームであれば、推理や謎解きを純粋に楽しみたいところ。

けれども、そのゲーム部分を否定するほど今作のテキストは素晴らしい。

伏線の置き方、ミスリードの演出、そして心地良いリズムのテキスト。

一人一人の心理描写がしっかりしていて、なぜその行動に至ったのかが明快だ。

「なぜお前がそこにいるんだ」とか、「なんでこんなことしているんだ」といった陳腐な展開はない。


ディレクターと脚本家がサブキャラクターに至るまでしっかりと性格分析をしているのが良く分かる。

前作で疑問が残ってしまった部分や矛盾点をことごとく説明していく手法も見事だ。


かまいたちの夜3の課題
かまいたちの夜3は初代「かまいたちの夜」シリーズの完結編ではあるが、集大成かと問われるとちょっと違う。

ゲームとしては初代の完成度が群を抜いているし、2の和風ホラーの恐怖は超えるものがない。


3はそもそもハンデがあった。

それは、前作の物語を正史とした上で、その続きを描くという決断をしたことだろう。


「かまいたちの夜2 監獄島のわらべ唄」の設定は多少ずるく、初代「かまいたちの夜」はゲームでの出来事ということにしてしまい、実際には猟奇的な事件などなかったのだ、というところから始まる。


かまいたちの夜3ではあえてその手法をとらず、前作の舞台を引き継いでいる。

あれだけ凄惨な事件が起きて、再び同じメンバーを同じ舞台に招集するという設定自体が難しい。

3を評価している人の中には、「よくあの物語をここまでまとめたな」という人もいるくらいだ。

私もそこを評価したい人間の一人で、2で残ってしまったモヤモヤ感を払拭してくれた今作は嬉しかった。


ゲームとしては、複数主人公の面白さもあるが、一方で同じような場面を繰り返し見ることによる重複感もある。

課題はあるものの、無茶な設定を正しく整理し、理想の結末へ導くテクニックは特出すべきものだ。

なによりも製作スタッフの「良い物を作りたい」という気持ちが感じられる。

サウンドノベル好きは是非プレイしてもらいたい。


これが本物のサウンドノベルといえる、「かまいたちの夜×3 三日月島事件の真相」。
日本語の美学に酔いしれてください。


YouTube [「かまいたちの夜」のペンションに行ってきました]




タイトル:かまいたちの夜×3 三日月島事件の真相
ハード:PS2
ジャンル:サウンドノベル
開発元:チュンソフト
発売元:セガ
発売日:2006年7月27日
ホームページ:http://chun.sega.jp/kama3.html

  

*こんな人にオススメ*
○サウンドノベル好き
○ゲームも読書も好き
○久々にサウンドノベルがやりたくなった方
○チュンソフ党員の方



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